株式会社JDSC(本社:東京都⽂京区、代表取締役:加藤 エルテス 聡志、以下「JDSC」)は、LLMを活用し、海事産業特有の問い合わせ対応業務の工数を削減し、業界のDXと働き方改革を推進するソリューションを開発しました。本ソリューションではAWSの生成AIサービスAmazon Bedrock上でClaude 3 Opus / Sonnet / Haiku(Anthropic Claude on Amazon Bedrock)を利用し、関連する各種契約書や技術情報、規制情報、FAQ、メールなど約1万の専門ドキュメントを横断的に調査、回答することが可能で、これまでに従業者が要した対応時間を約97%削減します。
日本は四面環海で資源の乏しい国土であるゆえに、海上輸送は国民生活や経済活動を支える重要性の高い領域である一方、近年ではデジタル化への遅れや、温室効果ガス(GHG)削減をはじめとした環境性能への要求の高まりなど、国際競争における各種課題が指摘されています。また、物流の2024年問題が取り沙汰されている中、海上も含めた物流サイクル全体において、従業者の減少と高齢化、事業の継続性が大きな課題となっています。
海事産業では、荷主、船主、傭船者といった海事クラスタを構成する関連当事者間での問い合わせが日々多数行われています。これらの問い合わせは、規制への対応確認という即時性が求められるものから、過去事例を参考にした判断が必要なケースなどさまざまであり、熟練者でもケースごとに参考とする資料が多岐にわたるため確実な回答を行うには1時間以上かかる複雑で難易度の高い業務です。対応者の熟練度に応じて回答精度にばらつきがある点も課題であり、業務平準化や従業員の高齢化に伴うノウハウ継承の対応が求められています。
JDSCは海事産業のアップグレードを目指し、合弁会社であるseawise株式会社の立ち上げをはじめとする業界横断でのDX支援を推進しています。その一環として、各種海事関連での仲介をはじめとする総合サービス会社とともに、2023年9月から業務シナリオごとの問い合わせ量と内容の把握と分析、回答に必要となるデータの収集と整理加工、顧客への提供方法の検討を行い、LLMが問い合わせに的確かつ迅速に回答できるようAIの精度の向上に取り組んできました。また、業界特有の記載ルールへの対応にも取り組んできました。
本仕組みでは船舶運航管理上で課題となる、荷物の積載や寄港地ごとの規制、荷役に関する問い合わせをはじめとする幅広い船舶業務に対応します。LLMが調査と回答を行うことで、これまで対応に1時間要していたものが1~2分で完了できるようになったとともに、これまで15年以上の経験者でなければ回答できなかった専門性の高い内容についても、従事3年目の社員が対応できるようになるなど、業務の平準化と人材活用の幅拡大、後継者への業務手法の引継ぎ、知識継承といった働き方改革の推進に寄与します。
本ソリューションではAmazon Bedrockを利用し、低コストと速度・精度向上を両立しています。Amazon Bedrock 上で利用できるClaude 3は20万トークンの大きなデータを扱えることが特長で、Bedrock上で Claude 3 Opus / Sonnet / Haikuの3種を、速度とバランス、精度の高さに応じた組み合わせで使い分け、回答精度を約30%向上させました。
LLMを活用した問い合わせ工数の削減、業務効率化は他業界の課題解決にも有効であり、JDSCは今後本ソリューションをベースとしたソリューションを普及拡大させていくとともに、今後も蓄積されたデータサイエンスの知見を基に、AIや機械学習、数理最適化などの先端技術を社会実装することで、個社のみならず産業全体の課題解決に取り組み、日本のアップグレードに貢献していきます。
以 上
■株式会社JDSCについて https://jdsc.ai/
JDSCは、物流最適化や需要予測、フレイル検知や教育など、基幹産業を中⼼とした幅広い分野で、⼀気通貫型の⾼付加価値なAIソリューションを提供しています。アルゴリズムモジュールの開発とライセンス提供事業、ITシステムの開発と運⽤事業、データサイエンスに関するビジネスマネジメント事業を行い、業界全体の課題解決にAIを活⽤し、⽇本の産業のアップグレードを⽬指しています。
《JDSCの3つの特⻑》
1. AIアルゴリズムに関する技術⾯での豊富な知⾒
2. AIによる解決策の提⽰から実⾏まで⼀気通貫で⽀援するビジネス⾯での⾼い執行能⼒
3. ⼤⼿企業との共同開発と産業横展開を両⽴する⽣産性の⾼いビジネスモデル