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フィジカルAI関連の取り組みと、今後の挑戦

フィジカルAI関連の取り組みと、今後の挑戦

この記事について
JDSCのフィジカルAIビジネス開発室による座談会の記録です。整った提案書でも網羅的なレポートでもありませんが、私たちがこの領域で具体的なプロジェクトを積み上げていること、フィジカルAIビジネス開発室としての考えが伝われば幸いです。

ヒューマノイドや自律ロボットを目にする機会が、この1年で一気に増えました。二足歩行ロボットなど、SFの中にあった光景が現実になりつつあり、感度の高い経営層ほど「この波は自社をどう変えるのか」を真剣に考え始めています。

JDSCはこの「フィジカルAI」を生成AIの次に来る技術領域と捉え、AWSの開発支援プログラム採択をはじめ複数のプロジェクトを動かしてきました。本記事では、最前線でビジネス開発室が何に取り組んでいるのかをお伝えします。

そもそも「フィジカルAI」とは何か

フィジカルAIは、現段階では定義の曖昧な言葉で、使う人によりイメージしているものが異なります。私たちが軸に置くのは2点。一つはAIがデジタル空間を出てフィジカル(現実)空間へ飛び出してきたこと、もう一つは従来のロボットより自律性が高いことです。

「フィジカルAI=ヒューマノイド」と思われがちですが、ロボットアームや搬送機も含めユースケースは無限に広がっており、どの業界にも「いますぐ着手できること」があります。

従来のロボットが決められた環境で決められた動作を繰り返すのに対し、フィジカルAIで重視されるのは状況を対象の位置や状態をその場で”見て”、 扱い方を”自ら判断して”、”動く”。より人間に近いこの自律性が最大の特徴です。

JDSCの蓄積が最も活きる領域

高度な自律性の世界にはまだチャレンジが必要です。ただ、フィジカルAIはJDSCが積み上げてきた力と「地続き」であり、その蓄積が最も活きる領域だと考えています。

たとえば、加工を担う工作機械(マザーマシン)も、自律的に動くならフィジカルAIです。これまで取り組んできたプロセス最適化も実機で動けば地続きで、デジタルツインやスマートファクトリーの一部として組み込まれていく。いまのプロジェクトの延長線上に、ロボットの自律化の世界があります。

この考え方はウェビナー「フィジカルAIの本格化とAI Defined Manufacturingの進化」でもお話ししています。(2026年2月公開 アーカイブと書き起こし:https://jdsc.ai/seminar/

ビジネス開発室の位置づけと今期の方針

今期、JDSCはAIを軸にした変革を一段と深めます。全社の変革支援に加え、産業の特化領域を深掘りするほど成果はソリューションとして型化しやすくなります。「デジタルからフィジカルへ」の流れは必ず訪れる。その未来から逆算して体制・チーム・アセットを先に用意する狙いでビジネス開発室を立ち上げ、FY27で本格化させています。

私たちの3つの提供価値

私たちは次の3つの領域で価値を提供していこうと考えています。
1.機械・設備メーカーの「フィジカルAIソリューション企業」への変革支援
2.製造・物流などの現場への実装支援
3.JDSC独自ソリューションの開発

① 機械・設備メーカーの変革支援 ― ロボットの「頭脳」をつくる

海外では、機械・設備メーカーがロボットの自律化に踏み込み、自らのビジネスの形を変え始めています。この流れは必ず日本にも来る。ただ日本には世界に冠たる機械産業の強さと固有の現場があり、後追いではなく日本の強みを生かした勝ち筋を、当事者のメーカーと一緒につくる――これが基本認識です。

代表例がダイフク社との取り組みです。搬送の自動化は進む一方、その周辺には人手作業が残ります。そこをロボットで置き換えるべく、私たちは自律的な判断を担う「頭脳」=制御部分をつくり込みます。産業用途で実用に耐える精度と速度のため、従来のロボティクス技術と急激に進化する基盤モデルの研究開発を併用して進めています。

メーカーが自ら「頭脳」に踏み込むのは、ヒューマノイドの登場で「専用設備」と「人手」の境界が溶け、自社の事業領域そのものが変わるという見立てがあるからです。その当事者になるか飲み込まれるか。先見性のある経営層ほどこの問いに向き合い始めており、私たちは実装のパートナーとして全力でサポートします。取り組みはダイフク社にとどまらず、資本業務提携するパートナーとの連携からも協業機会が生まれています。

② 現場への実装支援 ― 業界ごとに動き始めた議論

もう一つの柱が、ロボットを導入したいユーザー企業への支援です。
大切にしているのは「業界ごとに機会があり、先見性のある役員がこう考え始めている、その議論相手が私たちだ」という関わり方。現場に応じてヒューマノイド・犬型・ドローン・AMRを使い分け、どう協調させるかも重要なテーマです。

物流:ある大手消費財メーカーのグループ物流部門と、話が具体的に進みつつあります。以前にも業界変革を共に検討した先見性の高い物流役員が、いまフィジカルAIに注目していることに大きな手応えを感じています。

建設:現場自動化のニーズは数多く挙がっています。建設向けSaaSを手がけるIT企業と組み、大手建設会社も含めた座組みで共同ソリューションへ発展させられれば理想的です。

インフラ:あるインフラ事業者と巡回点検の自動化を議論しています。人手不足とベテラン減少という課題は多くのクライアントに共通します。遠隔地の設備も多く、ドローンや犬型ロボットによる遠隔点検で手間を大きく減らせます。

金融:金融機関とは、自ら取り組むより、挑む事業者をどう支援できるかを話し合うことが多い。フィジカルAIの動きが産業の枠を超えて広がる表れだと感じます。

③ JDSC独自ソリューションの研究開発

個別プロジェクトと並行して、汎用ソリューションの研究開発も進めています。役員との議論で繰り返し挙がる共通課題を起点に、現在は大きく3つを構想・開発しています。

組み立て自動化(製造):組み立て工程は意外なほど自動化が進んでおらず、鉄板を重ねてねじを締めるような「絶妙な力加減」の作業は従来のロボットでは困難でした。半導体や自動車など応用範囲が広い領域です。

溶接自動化(造船):大きな対象物の溶接や移動しながらの作業は依然自動化されていません。造船業はいま活況で国の投資も大きく、技術的には「多層盛り」(複数の層を重ねる溶接)の自動化が壁です。段階的に取り組んでいます。

建設ドローン活用:点検データを施工時のBIM(3D設計データ)と突き合わせれば工事の進捗を把握できます。ゼネコンと下請け間の出来高査定にドローンを使えれば、算定から決済まで半自動化できる。点検にとどまらず、契約・決済を含むビジネスモデルへ踏み込む構想です。

今後に向けて

研究開発の本格化に向け、実証環境づくりにも投資します。「ヒューマノイドはまだ早い」と言われる一方、実証したいニーズは強い。そこでヒューマノイド含め動かした実績をJDSC内に積み上げ、お客様と一緒に検証できる状態をつくります。あわせて採用、大手IT企業・スタートアップ・開発パートナーとの連携、買収・協業によるエコシステム強化にも努めます。

おわりに

いま、あらゆる産業が大きな変化の入り口に立っています。労働人口の不足を背景に、多くの企業が「フィジカルAIで自社に何ができるのか」「どこから手をつけるべきか」という問いを抱え始めているはずです。

その問いに、私たちは具体的な答えで応えます。構想を示すだけでなく、お客様の現場と事業に踏み込み実装と成果まで責任を持つ――それがJDSCの強みです。フィジカルAIは一部の先進企業だけのものではありません。まずは「自社なら何ができるか」を、一緒に描くところから始めませんか。

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