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経営情報

私たちJDSCは「Upgrade Japan」をビジョンに掲げ、日本社会を今の時代にあわせてアップグレードすることを使命としています。これは、日本がデータ時代、つまりデータを活用することが当たり前となる時代に取り残されつつあると危機感を抱いているためです。今、日本が抱える課題への解決策として、日本の産業の生産性を、「データ時代」に当然の水準まで引き上げる必要があるのです。
今、私たちは社会と経済秩序・企業経営ともに大きな変化の転換点に生きています。世界規模でのSDGs意識の高まりの中、企業や産業全体としての責任のあり方が社会から厳しく問われています。また、国際的な企業競争環境に目を向ければ、これまで以上にデジタル化、グローバル化、金融経済化の変化が加速し、そしてこれらの変化以上の速度で、Postコロナ時代のニューノーマルへの変化が進んでいます。国内の経済停滞が続く中、かつての日本企業が謳歌した成功モデルの転換なくしては、国際競争を勝ち抜くどころか、生き残ることすら難しい時代です。

AI、IoT、クラウド、ブロックチェーンなどデジタル技術は、SDGsの達成、生産性向上・競争力強化、日本が抱える労働人口の減少問題への道具として、確かに有用なものといえます。一方で、こうした近年のデジタル技術の活用推進以前に、生産性の律速段階となっている要素があることも決して看過できません。例えば非効率的な業界慣習や企業ガバナンス、企業文化や業務プロセスは、デジタル技術活用以前に見直されるべきものです。こうした現状を正視し、企業変革とデジタル化へ邁進できる企業と、時代に取り残される企業との差が広がりつつあります。
業務プロセスや企業全体のアップグレード、ましてや産業全体のアップグレードは、アプリ更新のように機械が夜に勝手にしてくれるものではありません。そこには、変化を求める強い意思とビジョンが、従来の企業の枠組みを超えた協業が、それを支える高度な技術が、そしてそれらを実行する変革の担い手が必要です。アカデミアによる知の集積と高度化、具現化ももちろんその要素の1つです。

これまで大学は、日本の社会が抱える課題の解決に大きな役割を果たしてきました。明治時代には列強に追いつくための熾烈な近代化、戦後復興の高度経済成長に必要な制度造りや技術革新・産業育成など、日本の社会が抱える課題はこの100年で目まぐるしく変わってきました。こうした課題解決に、学問の輸入や深化、政策提言、人材育成と提供を通して、陰日向に貢献するのが、大学に求められる貢献でした。昨今のデータ時代の到来により、大学で培われた知は、より直接的な形で社会に貢献することが求められています。
単に大学の技術を右から左に動かすだけではこうしたアップグレードは実現されません。大学と、各産業におけるリーディングカンパニー、要素技術を有するベンチャー、自治体など複数のステークホルダーが手を取り合い、個人、個別企業、個別セクターではなし得ない変革を起こす必要があります。

私たちJDSCは、東大の知を擁するAl企業であり、また、社名に「コンソーシアム」という私企業には珍しい存立趣旨を含むユニークな企業です。こうしたユニークさのため、他企業にはない貢献の仕方が可能です。これらが私たちの企業としての強みです。
一つは、既存のテクノロジー・サイエンスの限界を超える挑戦ができることです。私たちが取り組む課題は、必ずしも目新しいものではありません。むしろ、古くからその存在が知られ、多くの人や企業が解決を試みてきた課題です。例えば荷物の配送先家庭の消費電力データを用いることで、社会問題となっている不在配達を減らす試みは、電力会社や運送会社、SIerやコンサルティング企業などによって取り組まれてきたものでした。私たちはアカデミアの最先端の知を取り入れることで、こうした課題に、従来にはない高度な解決策を提供しています。学術領域の専門家も含め、多様のエキスパートが有機的に学び合い、切磋琢磨する組織だからこそ、高度なデータサイエンス・テクノロジー上の成果がビジネスとして結実し、同時に、SDGs観点で公共利益を実現できる形へと力強く推し進めることができています。
もう一つユニークなのは、既存の競争関係に起因する制約を超えることができる点です。産業が抱える課題には、競争して解決する領域と、協調して解決する領域があります。先述の経済秩序変化やSDGs意識の高まりから、協調領域への注目がかつてない程高まっています。私たちは既存の競争関係の枠組みを超え、企業が連携する取り組みを支援します。私たちが取り組むのは脱炭素、高齢世代の社会的包摂、フードロス対策、産業共通のデータ基盤構築とデータ連携などは、特にその公共的側面が注目を浴びているチャレンジです。こうした共通目標を掲げ、そこに向けて既存の競争関係を超えて協調することで、企業、消費者、働き手、売り手やサプライヤー、コミュニティそして投資家全てがwin-win関係を築けるよう、社会性と収益性の両立に挑戦します。こうした取り組みは、常識を変え、社会性と経済性の両立に挑戦する連鎖を生み出しうるものです。

私達はコンソーシアムとして、産業変革をリードし、アカデミアと共に日本のアップグレードを支えてまいります。

代表取締役社長
加藤 エルテス 聡志