森 浩太さん

データサイエンティスト

Kota Mori

データサイエンスの可能性を切り開く。異なる専門性が交わるユニークな環境。

Yale大学在学中から大規模データの収集と独自の分析活動に取り組み、特に自然言語処理を取り入れた計量分析手法を研究する。卒業後は研究経験を活かし、製造・広告・通信・金融など、様々な業種の顧客との分析・開発プロジェクトを経験。JDSCでは製造・物流・エネルギー産業のクライアントを中心に、多様な課題に対してデータを活用したアルゴリズムの開発・実装を支援している。

Yale大学で学んだ計量経済学を活かしてデータ分析に取り組む。入社のきっかけは広報ブログの「ある一言」。  

―JDSCに入社するまでの経緯を教えてください。  

私にとってのデータサイエンティストとしての原点は、東京大学の大学院で計量経済学の研究プロジェクトに携わったことです。その後、Yale大学の経済学部博士課程に進学し、分析技術にくわえて幅広くプログラミングやシステム開発を経験しました。当時は、パソコンのOSはUbuntu 8を使っていてPythonは2が主流でした。専攻は政治経済学の実証分析で、独自にデータを集めて社会現象を解き明かす研究をしていました。データサイエンスや機械学習という言葉を耳にするようになったのはちょうど卒業する2014年頃からで、同じツールや手法を計量経済学とは別の切り口で使っているように感じられて興味を持ちましたね。 

卒業後は一貫して企業向けのデータ分析支援の仕事で、データの集計・可視化はもちろん、広告効果測定や機械学習モデルの開発など幅広い案件に携わりました。なかでも印象に残っているのは自動車につけられたセンサーや光通信ネットワークのデータを用いた分析です。それまではどちらかというと社会科学寄りの経験が主だったので、工業製品からもデータが生じていて同じ分析手法が適用できるという事実が新鮮だったことを覚えています。 

JDSC入社のきっかけは、VP of Data Scienceの中橋さんの書いたJDSCのブログ記事です。記事中の「日本の統計リテラシーを向上させたい」という言葉には目が覚める思いで共感しました。それ以上に衝撃だったのは、記事の中盤から現代統計学の父と言われるロナルド・フィッシャーの話が始まったことです。キャッチーな深層学習とか生成AIではなくあえてフィッシャーを語る会社に興味を持ち、コンタクトを取りました。JDSCのプロジェクトでは単なるデータ分析支援の提供にとどまらず、顧客企業との共同開発によって業界の課題解決や先端事例を作っていくという点で、魅力的な挑戦機会があると考え、入社を決めました。 

プロジェクトとメンバーの特性を見極め新規性・独自性のある領域に挑戦。  専門領域に強いメンバーがいるから幅広い案件に対応できる。 

―現在、JDSCではどのような業務を担当しているのでしょうか。  

ディレクターとして、プロジェクトの構想段階から議論に参加し、方向性を見極めるのが主な仕事です。おおげさに言えば、データサイエンスの新しい可能性を提示し、高いレベルで社内外の目線を合わせる役割だと考えています。そうすることで、JDSCにしかできない、JDSCが取り組むべき案件をつくるとともに、メンバーに対しては成長の機会を提供することにつながります。 

プロジェクトを構想する際には、それがどのような意思決定をもたらすのかを意識します。データサイエンスというと機械学習を思い浮かべることも多いかと思いますが、機械学習の本質は予測です。手元にある情報から何か直接観測できないものを推測するということですね。ではなぜ予測するのかと言うと、多くの場合それは次の行動を決めるためです。意思決定を伴わない予測にはあまり価値がありません。その意味で、データを用いてより良い意思決定を実現することが、データサイエンティストに期待されるべき役割だと考えています。 

意思決定の高度化に直接関連するアプローチとして、最近では数理最適化を取り入れたプロジェクトを提案する機会が増えています。売上を最大にしたい、移動時間を短くしたいなど、我々が日々望んでいることの多くは何かの最適化になっていることが多いです。ビジネスにおいても、人員配置、生産設備稼働、輸送計画など多くの最適化対象がありますし、設計図面を最適化して製品品質を向上させるという応用例もあります。数理最適化のプロジェクトでは、対象となる現象をモデル化することになります。枝葉を捨てて本質部分を数学的に表現する作業です。これには、ドメインの深い理解が不可欠です。その点、JDSCには各業界の専門家が在籍していますし、お客様との情報交換を通じてモデル化を円滑に進めることができています。 

専門知識をすり合わせることで、クライアントも想定していなかった最適解にたどり着いた。 

―これまでのお仕事で印象的だったエピソードはありますか? 

あるロジスティクスの案件で、輸送計画の見直しによる費用の削減効果を試算したときのことですが、最初に弾き出した数字が、ビジネス的にはかなり非現実的な金額だったことがあります。躊躇いつつも、その結果を、データをこのように解析するとこういう数字になるんですよ、と説明したわけです。すると、我々の分析では考慮に入れていない現場の事情や業務上の制約の存在が明らかになりました。こうしたことはお客様のなかでは当たり前の前提になっていることが多く、事前に条件を列挙しようとしても網羅できないことも多いです。頂戴したフィードバックをもとにモデルと現実を近づけていくことで、最終的には当初試算ほどではないものの数10%の削減余地を導くことができ、現場感覚とも矛盾しないとご納得いただくことができました。ドメインの理解をうまくデータ解析に取り入れることができた好例だと思います。 

ドメイン知識という言葉はJDSC社内でもしばしば耳にするもので、私自身も大事にしていますが、一方でその従となってはいけないとも考えています。たとえば、とある生産工程があり、経験あるエンジニアであれば「A→B→C」の手順で実施するという知識が得られたとします。それをもとに「A→B→C」の順を追うAIを作ればおそらく良いものができますが、一方で人間を超えることは難しいでしょう。理想は「A→B→C」がデータやアルゴリズムから導かれることです。そうすることで、それが正しい手順であったことが客観的に示されたり、あるいはそれ以上に望ましい別の手順が発見される可能性が生まれます。ときには常識から外れる発想も考慮して、データ分析の技術と業界の知見が対等に交わることのできる環境がJDSCのユニークさだと思います。 

カレンダーブロックが当たり前に許容される社風。柔軟なワークスタイルで子育てとも両立。 

―日々の仕事を通じて、JDSCのどのような点に魅力を感じますか? 

議論できる相手がいることです。データを扱う人間が社内に一人しかいないと、プレッシャーを感じてしまいます。JDSCには特定の領域に強いデータサイエンティストや業界経験が豊富なコンサルタントが多数おり、フラットな関係で会話できるのが嬉しいですね。 

働く環境としては、リモートワークができるのがありがたいです。先日子どもが発熱した際も、リモートワークだったのでそばにいてあげられました。子どもの送り迎えなどで即時対応できない時間はカレンダーブロックし、その分早朝や夜の時間帯に働くなど、柔軟にやらせてもらっています。そういった相談を気兼ねなくできるのが嬉しいですね。 

学会発表や海外進出も視野に。データサイエンティストとしてさらに活躍のフィールドを広げたい。 

―今後JDSCで実現したいことはありますか? 

1つは、お客様との共同開発の成果を論文化して学会発表につなげたい思いがあります。プロジェクトから得られた知見を広く共有することで、業界全体、社会全体に価値を生み出すような仕事をしていきたいです。もう1つは、特定分野においてヒトを超えるAIの開発に挑戦したいですね。特に注目しているのは、設計・生産・物流などをはじめとする、高い専門性と経験値に支えられた領域です。経験値の裏には様々なロジックと言語化されていない暗黙知が隠れており、それらをAIに理解させることでヒト以上の仕事が可能になるのではないかと考えています。過去の例を振り返ると、自分を超えるAIが現れるとヒトはそこから学ぶようになります。その結果として産業全体の体力を底上げするような仕事を目指したいです。 

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