JDSCが目指す、”海事産業のUPGRADE JAPAN”とは?

四方を海に囲まれた日本の海事産業は、過去から一貫して世界に誇る産業であり、日本の経済成長を支えてきました。

しかし、これからも同様に成長を牽引し続けられるのでしょうか?
労働人口の減少が急激に進む中、海事産業もDXの推進なくしては世界との競争に生き残れません。

また、日本全体を支えるためには、「業界全体の最適化」も必要です。
このような観点でJDSCが取り組んでいる"海事産業のUPGRADE JAPAN"についてご紹介します。

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日本における海事産業の位置づけ

皆さんは日本の海事産業についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

一口に”海事産業”といっても、造船、海運、舶用工業等と幅広いですが、いずれも日本が世界に誇る産業であり、長らく技術をリードしてきた歴史を持ちます。

そもそも、日本は四面環海で資源の乏しい国土であり、それゆえ貿易量の99.6%、国内貨物輸送の43.7%を海運に依存しています。これはエネルギー資源や工業原料といった産業用途の資源に限らず、私たちが日々使っている消費財についても同様です。

いずれにせよ、生活と密接に関わっている、無くてはならない産業であることがご理解いただけると思います。日本のこれまでの経済発展は海事産業と共にあったと言っても過言ではないですし、おそらくこれからもそうであり続けると思います。

世界の海事産業の変化

先述した通り、海事産業はこれからも日本に不可欠な産業であり続けると思います。

しかし、日本のプレイヤーが常に主役でいられるかはわかりません。 かつて世界を席捲した日本の造船業も、中国・韓国にその地位を奪われて久しく、国土交通省が2019年に発表した「日本造船所の規模面での弱さ」という資料では「まるで月と地球」と表現されるほどに、造船所の従業員数、工場面積、生産量のすべてにおいて水をあけられていることがわかります。

また、海運における規模を推し量る一つの指標である「国別保有船腹量」では、ギリシャに次ぐ2位の座を、最新の統計でついに中国に明け渡すことになりました。 一方で、世界の海事産業は、海上輸送の需要の高まりを中心に長期の成長トレンドの中にあります。

また、2015年のパリ協定、2018年のIMO 海洋環境保護委員会(MEPC)等の流れを受け、国際海運におけるGHG(地球温暖化ガス)排出削減目標が明確化されてきており、既存のビジネスモデルに変革の機運が訪れてきています。

海事産業をUPGRADEする、とは?

そんな海事産業に対して、JDSCは何をしようとしているのでしょうか。一言でいうと、以下のようにまとめられます。

“海事業界の高まる需要、複雑化するオペレーションに対して、AI技術を用いて健全(人、環境への負荷を最小)にスケールUPでき、かつサステナブルにする”

日本の海事産業として今後どう動いていくべきか?まさに各社が戦略的な分岐点に立っていると思います。

この中で、JDSCは各リーディングカンパニーとの協業を通じて、日本企業の強みを結集した共創(協創)の基盤となることを(JDSCの”C”=Consortiumの名の通り)目指しています。

国内企業の強みは、あらゆる海事業務(新造、入出港、運航、修繕、各種管理…)において、高いレベルの技術、オペレーションを保有していることだと思います。造船に強い中韓、舶用工業に強い欧州…といった分業ではなく、総合的なレベルの高さは世界に誇れると思います。

一方で、業界ならではの課題もあります。代表的なものとしては、「デジタル化に対する全般的な遅れ」、「複雑な業界慣習」、「変革の担い手不足」などが挙げられます。 「すべての記録は紙でファイリングしています」 「担当者が個人で情報持っているので、まとまって管理できていないです」 「船主ごとに業務のやり方が違うので、決まった業務フォーマットがないです」 …というようなことは、この業界では珍しくないことです。

JDSCはこれらの課題すべての解決を目指しています。その中の具体的な取り組みとして、AI企業らしく、まずは船舶に関するあらゆるデータを標準化し、統合管理できるようにすることから始めています。

標準化は一日にして成らず

標準化は、実態としてかなり難しいです。国際的な規格化の先例はいくつかあるものの、産業全体を跨いだ”決定版”はまだありません。その中で、いくつものモデルを比較しながら、より良い方向性を探索して、やっと信頼される標準化が実現します。つまり、近道はないのです。

JDSCでは、産業の中にいらっしゃるエキスパートの方や、アカデミックな知見をお持ちの先生方と協力しながら、標準化に取り組んでいます。

データの先にあるUPGRADEの手ごたえ

このように困難な営みではありますが、最後にお伝えしたいのは、海事産業のスケールと可能性の大きさです。我々も、積み荷を満載したコンテナ船、巨大なタンカーやバラ積み船を間近で見たとき、そのスケールの大きさに心が揺さぶられました。
日々の仕事はパソコンに向かう毎日ですが、それがあの巨大な造形物の何かにつながっている、そして日本の造船・海事産業の隆盛につながっている、という確かな手ごたえを感じながら、海事産業のUPGRADEを続けております。

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