設計上流の意思決定を、
仮説と根拠で前に進める。

Co-design Engine

MBD/MBSE組織間をまたぐ設計調停AI

意匠・空力・熱・回路といった専門領域のあいだ。OEMとサプライヤーのあいだ。判断が滞る境界に、仮説ベースの調停プロトコルを置き、設計の合意形成を高速化する。

判断を下すのは、あくまで設計者である。Co-design Engineは、その判断を支える根拠を、定量的に示す。

ISSUE

課題

上流の判断精度が、下流の手戻りとコストを決める

設計上流で下す意思決定の精度は、下流工程の手戻りやコスト増大を左右する。にもかかわらず、その判断の多くは、熟練者の勘と経験に委ねられてきた。熟練人材が減少するいま、個人の経験に依存した開発プロセスは、限界を迎えつつある。

さらに、製品の複雑化によって、判断は単一の専門領域では完結しなくなった。意匠・空力・熱・回路が相互に制約し合い、その調整はOEMとサプライヤーなど、組織の境界をまたいで行われる。問われているのは、境界を越えて通用する判断の根拠である。

例:自動車のLiDAR搭載ヘッドランプ開発

意匠OEM デザイン
持ち帰り
空力OEM エンジニア
持ち帰り
熱Tier1 ランプ
持ち帰り
回路Tier2 基板
境界を越えるたびに、解析のやり直しと日程調整が生じる。1往復に数週間を要することもある。
  1. 検討が、境界で止まる

    他領域への影響は、各領域の解析を経なければ分からない。結果は境界ごとに持ち帰られ、判断は解析の完了を待って滞る。

  2. 根拠が、共有されない

    要求の意図、解析モデル、原価。互いに開示できない情報が残る以上、全体最適を示す共通の根拠は成立しにくい。結果として、立場の強い側の意見が通りやすくなる。

  3. 判断が、毎回ゼロから始まる

    仕様変更や派生開発のたびに、変化点の波及を洗い直す。判断の拠り所が熟練者の経験にとどまるため、同じ調整が繰り返され、世代交代とともに知見も失われる。

APPLICATION

開発のどこで効くか

効くのは、影響の評価と領域・組織間の調停

設計判断の質が問われるのは、変化点が他領域に及ぼす影響を見極める局面と、利害の異なる当事者のあいだで解を調停する局面である。Co-design Engineは、この2つの局面を対象とする。

例:派生開発の場合

  1. 変更内容の整理

    意匠変更、部品の追加、原価低減など、何を変えるかを定義する

  2. 変化点の抽出

    DRBFMなどで、変化点を洗い出す

  3. 影響の評価

    従来他領域への波及を、領域ごとに逐次解析する

    Co-design Engine仮説を立て、波及を予測し、根拠を構造化して示す

  4. 領域・組織間の調停

    従来持ち帰りと再解析を重ね、合意に至るまで往復する

    Co-design Engine成立する条件を逆算し、複数案を定量的に比較する

  5. 設計変更の確定

    デザインレビュー、設計変更の手続き

Co-design Engineが効く範囲
PROTOCOL

調停の仕組み

仮説と根拠で、設計の判断を調停する

Co-design Engineにおける調停とは、立場の異なる当事者のあいだで、中立な根拠を示し、成立する解へ導くことをいう。交渉が立場の強弱で決まるのに対し、調停は根拠で決まる。

その中核が、仮説をベースにした調停プロトコルである。仮説を立て、他領域への波及を予測し、根拠とともに示す。成立しなければ、目標から逆算して、次の仮説に進む。

  1. 仮説

    各領域が、目標と制約を仮説として提示する

  2. 予測

    設計パラメータの変動から、他領域への波及を予測する

  3. 根拠

    因果関係と感度を、検証可能な形で示す

  4. 修正

    不成立なら、目標性能から逆算して次の仮説を示す

不成立の場合は、修正した仮説で、再び予測へ

仮説は、外れることを前提に置く。外れたときの修正を速くすることが、調停を速くする。

工程

3

影響の評価

課題 1 検討が、境界で止まる

予測する

この形で、成り立つか。

寸法や配置などの設計パラメータを変動させたときに、空力や熱といった性能が目標を満たすかを予測する。各領域の解析結果を待たずに、他領域への影響を見積もることができる。

課題 2 根拠が、共有されない

根拠を示す

なぜ、そうなるのか。

予測の理由を、設計パラメータと性能の因果関係、および感度として示す。他の部署や他社の担当者が、根拠を自ら検証できる。

各領域の解析を待たずに、他領域への影響と、その根拠を把握できる。

工程

4

領域・組織間の調停

課題 3 判断が、毎回ゼロから始まる

案を出す・比べる

どうすれば、成り立つか。

目標とする性能から逆算し、成立する設計条件の案を提示する。案が成立しなければ、次の候補をただちに提示する。構造案ごとの結果を並べ、定量的に比較することもできる。

持ち帰って再解析する代わりに、成立する条件を逆算し、案を定量的に比較できる。

属人化からの脱却と、リードタイムの短縮を、同時に実現する。

  • 属人化からの脱却

    熟練者の勘と経験に依存してきた判断の根拠を、定量化し、構造化する。判断の拠り所を、個人から組織へ移す。

  • 開発リードタイムの短縮

    領域・組織間の往復を減らし、設計上流の意思決定を速める。上流の判断精度が高まれば、下流工程の手戻りも抑えられる。

判断を下すのは、あくまで設計者である。

Co-design Engineは、判断を代替しない。調停に必要な根拠を、定量的に提供する。

USE CASE

活用シーン

利害が3方向以上に分かれる検討なら、業界を問わず適用できる

調停が価値を持つのは、次の条件がそろう検討である。

  1. 利害が3方向以上に分かれる

    2者であれば交渉で足りる。3者以上になると、誰が譲るべきかを決める根拠がない。

  2. 開示できない情報がある

    要求の意図、解析モデル、原価など、組織の境界を越えられない情報が判断に関わる。

  3. 成立性の確認に時間を要する

    解析や試験を経なければ答えが出ず、1往復に数週間を要している。

適用領域の例

  • 自動車

    OEMとTier1・Tier2

    意匠 × 空力 × 熱

  • 製造業の部署間

    商品企画・設計・生産技術

    商品性 × 性能 × 造りやすさ

  • 半導体パッケージ

    設計側と、基板・実装メーカー

    反り × 熱 × 信号品質

  • AIデータセンター

    サーバベンダーと、DCの設計・運用

    部品温度 × 冷却効率

  • 建築

    意匠・構造・設備

    デザイン × 環境性能 × 工期

自動車で磨いた調停プロトコルを、複雑な物理・機能のトレードオフを抱える、ものづくり全般へ展開していく。

活用シナリオの例

自動車のLiDAR搭載ヘッドランプ開発における調停

このヘッドランプを題材に、意匠・空力・熱・回路の各領域が、OEM、Tier1、Tier2の境界をまたいで調停される流れを示す。協議の場は一例にすぎず、設計審査や仕様変更の協議など、調停を必要とする局面は他にもある。

自動車のLiDAR搭載ヘッドランプ開発における調停
場面論点調停の内容到達点
意匠 × 空力デザイナーとエンジニア薄型のランプ形状と、空力目標の両立ランプ寸法の変動に対する空力目標の達成度を予測し、因果関係とともに提示。形状制約の許容範囲を、根拠に基づいて見極める形状の制約を、根拠とともに確定
形状制約 × 熱OEMとTier1薄型形状の制約下で、LiDAR基板の熱が成立するか形状制約の範囲内で熱の成立性を検証し、因果のつながりで根拠を確認再解析の往復を経ずに合意
意匠 × 空力 × 熱 × 回路OEM、Tier1、Tier2すべての領域を満たす形状空力と熱を両立する形状案を提示し、基板の実装構造を3案で比較OEM、Tier1、Tier2の3者が合意
TECHNOLOGY

技術の土台

システムズエンジニアリングの論理と、AIの解析を組み合わせる

判断の構造を与えるのがSEの論理であり、定量的な根拠を与えるのがAIによるデータ解析である。両者の融合が、専門領域と組織をまたぐ設計調整を高速化する。

  • システムズエンジニアリング(SE)

    判断を構造化する

    要求・機能・設計パラメータのつながりを、SEのロジックで構造化する。MBD/MBSEの考え方に立ち、判断の根拠を、領域横断で扱える形に整える。

  • AIによるデータ解析

    根拠を定量化する

    過去の解析結果をAIで分析し、設計パラメータが性能に及ぼす影響を定量化する。複雑な物理・機能のトレードオフを、因果と感度の構造として扱う。

  • CAE・CAD・試験結果

    既存の資産を活かす

    お使いのCAEはそのまま活用し、その結果を調停に使える形へまとめる。設計情報、CAD、試験結果も、お手元のものを用いる。

勘と経験に支えられてきた判断を、組織が共有できる根拠に変える。

設計調整が滞る領域を、ご相談ください

どの領域・組織のあいだで、どのような判断が滞っているのか。実態を伺い、Co-design Engineの適用可否を、ともに検証します。