課題 1 検討が、境界で止まる
予測する
この形で、成り立つか。
寸法や配置などの設計パラメータを変動させたときに、空力や熱といった性能が目標を満たすかを予測する。各領域の解析結果を待たずに、他領域への影響を見積もることができる。
設計上流の意思決定を、
仮説と根拠で前に進める。
MBD/MBSE組織間をまたぐ
意匠・空力・熱・回路といった専門領域のあいだ。OEMとサプライヤーのあいだ。判断が滞る境界に、仮説ベースの調停プロトコルを置き、設計の合意形成を高速化する。
判断を下すのは、あくまで設計者である。Co-design Engineは、その判断を支える根拠を、定量的に示す。
設計上流で下す意思決定の精度は、下流工程の手戻りやコスト増大を左右する。にもかかわらず、その判断の多くは、熟練者の勘と経験に委ねられてきた。熟練人材が減少するいま、個人の経験に依存した開発プロセスは、限界を迎えつつある。
さらに、製品の複雑化によって、判断は単一の専門領域では完結しなくなった。意匠・空力・熱・回路が相互に制約し合い、その調整はOEMとサプライヤーなど、組織の境界をまたいで行われる。問われているのは、境界を越えて通用する判断の根拠である。
例:自動車のLiDAR搭載ヘッドランプ開発
他領域への影響は、各領域の解析を経なければ分からない。結果は境界ごとに持ち帰られ、判断は解析の完了を待って滞る。
要求の意図、解析モデル、原価。互いに開示できない情報が残る以上、全体最適を示す共通の根拠は成立しにくい。結果として、立場の強い側の意見が通りやすくなる。
仕様変更や派生開発のたびに、変化点の波及を洗い直す。判断の拠り所が熟練者の経験にとどまるため、同じ調整が繰り返され、世代交代とともに知見も失われる。
設計判断の質が問われるのは、変化点が他領域に及ぼす影響を見極める局面と、利害の異なる当事者のあいだで解を調停する局面である。Co-design Engineは、この2つの局面を対象とする。
例:派生開発の場合
変更内容の整理
意匠変更、
変化点の抽出
DRBFMなどで、
影響の評価
従来他領域への波及を、
Co-design Engine仮説を立て、
領域・組織間の
従来持ち帰りと
Co-design Engine成立する条件を
設計変更の確定
デザインレビュー、
Co-design Engineにおける調停とは、立場の異なる当事者のあいだで、中立な根拠を示し、成立する解へ導くことをいう。交渉が立場の強弱で決まるのに対し、調停は根拠で決まる。
その中核が、仮説をベースにした調停プロトコルである。仮説を立て、他領域への波及を予測し、根拠とともに示す。成立しなければ、目標から逆算して、次の仮説に進む。
各領域が、目標と制約を仮説として提示する
設計パラメータの変動から、他領域への波及を予測する
因果関係と感度を、検証可能な形で示す
不成立なら、目標性能から逆算して次の仮説を示す
不成立の場合は、修正した仮説で、再び予測へ
仮説は、外れることを前提に置く。
工程
3
影響の評価
課題 1 検討が、境界で止まる
予測する
寸法や配置などの設計パラメータを変動させたときに、空力や熱といった性能が目標を満たすかを予測する。各領域の解析結果を待たずに、他領域への影響を見積もることができる。
課題 2 根拠が、共有されない
根拠を示す
予測の理由を、設計パラメータと性能の因果関係、および感度として示す。他の部署や他社の担当者が、根拠を自ら検証できる。
各領域の解析を待たずに、
工程
4
領域・組織間の調停
課題 3 判断が、毎回ゼロから始まる
案を出す・比べる
目標とする性能から逆算し、成立する設計条件の案を提示する。案が成立しなければ、次の候補をただちに提示する。構造案ごとの結果を並べ、定量的に比較することもできる。
持ち帰って再解析する代わりに、
属人化からの脱却と、
熟練者の勘と経験に依存してきた判断の根拠を、定量化し、構造化する。判断の拠り所を、個人から組織へ移す。
領域・組織間の往復を減らし、設計上流の意思決定を速める。上流の判断精度が高まれば、下流工程の手戻りも抑えられる。
判断を下すのは、あくまで設計者である。
Co-design Engineは、判断を代替しない。調停に必要な根拠を、定量的に提供する。
調停が価値を持つのは、次の条件がそろう検討である。
2者であれば交渉で足りる。3者以上になると、誰が譲るべきかを決める根拠がない。
要求の意図、解析モデル、原価など、組織の境界を越えられない情報が判断に関わる。
解析や試験を経なければ答えが出ず、1往復に数週間を要している。
適用領域の例
OEMとTier1・Tier2
意匠 × 空力 × 熱
商品企画・設計・生産技術
商品性 × 性能 × 造りやすさ
設計側と、基板・実装メーカー
反り × 熱 × 信号品質
サーバベンダーと、DCの設計・運用
部品温度 × 冷却効率
意匠・構造・設備
デザイン × 環境性能 × 工期
自動車で磨いた調停プロトコルを、
活用シナリオの例
このヘッドランプを題材に、意匠・空力・熱・回路の各領域が、OEM、Tier1、Tier2の境界をまたいで調停される流れを示す。協議の場は一例にすぎず、設計審査や仕様変更の協議など、調停を必要とする局面は他にもある。
| 場面 | 論点 | 調停の内容 | 到達点 |
|---|---|---|---|
| 意匠 × 空力デザイナーとエンジニア | 薄型のランプ形状と、空力目標の両立 | ランプ寸法の変動に対する空力目標の達成度を予測し、因果関係とともに提示。形状制約の許容範囲を、根拠に基づいて見極める | 形状の制約を、根拠とともに確定 |
| 形状制約 × 熱OEMとTier1 | 薄型形状の制約下で、LiDAR基板の熱が成立するか | 形状制約の範囲内で熱の成立性を検証し、因果のつながりで根拠を確認 | 再解析の往復を経ずに合意 |
| 意匠 × 空力 × 熱 × 回路OEM、Tier1、Tier2 | すべての領域を満たす形状 | 空力と熱を両立する形状案を提示し、基板の実装構造を3案で比較 | OEM、Tier1、Tier2の3者が合意 |
判断の構造を与えるのがSEの論理であり、定量的な根拠を与えるのがAIによるデータ解析である。両者の融合が、専門領域と組織をまたぐ設計調整を高速化する。
システムズエンジニアリング(SE)
要求・機能・設計パラメータのつながりを、SEのロジックで構造化する。MBD/MBSEの考え方に立ち、判断の根拠を、領域横断で扱える形に整える。
AIによるデータ解析
過去の解析結果をAIで分析し、設計パラメータが性能に及ぼす影響を定量化する。複雑な物理・機能のトレードオフを、因果と感度の構造として扱う。
CAE・CAD・試験結果
お使いのCAEはそのまま活用し、その結果を調停に使える形へまとめる。設計情報、CAD、試験結果も、お手元のものを用いる。
勘と経験に支えられてきた判断を、
どの領域・組織のあいだで、どのような判断が滞っているのか。実態を伺い、Co-design Engineの適用可否を、ともに検証します。