株式会社日本政策投資銀行「大企業を支えるデータ分析の多角的アプローチと仕組み構築」
本セッションでは株式会社日本政策投資銀行の宮川暁世 産業調査部部長兼地域調査部担当部長と、張南煕 産業調査部課長をお招きして、日本政策投資銀行様が長年調査を続けられている「設備投資計画調査」のデータ活用についてご紹介します。蓄積されたデータからどのように示唆を抽出したのか、試行錯誤のエピソードも含めてお話いただきます。
日本経済の課題に対応する政府系金融機関
冨長:宮川様は日本開発銀行入行後、ロンドン拠点での対日投資促進業務、銀行全体のIT戦略の立案、資本市場における投資家対応、女性起業家支援等幅広い業務をご経験し、本年より現職、産業調査部部長兼地域調査部担当部長を務めていらっしゃいます。
張様は2008年に日本政策投資銀行に入行され、自動車、造船、海洋開発分野等の投融資・調査業務をご担当後、技術の社会実装支援に従事。現在は「設備投資計画調査」のデジタル化を基軸に、業務改革・高付加価値化プロジェクトを推進中でいらっしゃいます。
お二方とも本日はどうぞよろしくお願いいたします。
では、JDSC側も自己紹介をお願いします。
小泉:まず私は、新卒でアクセンチュア株式会社に入社し、金融業界を中心に業務効率化、システム開発案件を多数経験した後2023年にJDSCに参画いたしました。当プロジェクトにおいては、現場のプロジェクト推進及び責任者という立場で関わらせていただいております。
山西:私はマーケティングリサーチ会社やAI分析ベンダー、コンサルファーム等で長年データ分析に関わる業務に従事しておりました。本件のプロジェクトでもデータ分析をメインに担当しております。
冨長:ファシリテーターの冨長です。ITコンサルタント、データアナリストが所属するチームを所管しております。
それではまず、DBJ様の概要を教えていただけますでしょうか。
宮川:第二次大戦後の1950年代に日本開発銀行と北海道東北開発公庫が戦後の日本経済復興のための産業資金の融資のために設立されたのを嚆矢とし、2008年10月1日に設立されました。
現在の行員数は1,200名ほどです。本店は東京の大手町にございまして、国内は北海道から鹿児島まで支店19カ所と事務所8カ所、海外はロンドン、ニューヨーク、シンガポール、北京に現地法人がございます。
従来型の融資に加えて、投資やコンサルティングアドバイザリー、また最近ではグループ会社を通じてアセットマネジメント業務も手がけております。2008年の金融危機、2011年の東日本大震災、直近では新型コロナなど、日本経済が抱える課題への対応も行っております。
68年続く投資動向調査のDXプロジェクト
冨長:続いてお二人のいらっしゃる産業調査部の業務内容、そして今回のテーマである「設備投資計画調査」について教えていただけますでしょうか。
宮川:産業調査部は経済や産業や技術に関する知見を集約している部署です。業種ごとの担当者を置いていますが、近年では脱炭素やGX推進といった業種横断的な課題が増えているため、業種という縦の軸と社会課題という横の軸それぞれの知見を蓄えながら、DBJグループ向けに提供したり、お客様の課題に対して直接サポート差し上げたり、レポートという形にまとめて一般やマスコミに公表したり、政策提言につなげたりといった活動をしております。
張:今回のプロジェクトで扱った「設備投資計画調査」は、1956年から調査を開始している、弊行の中でも重要な統計です。
調査は毎年6月に、「設備投資計画調査」と「企業行動に関する意識調査」の二本立てで行っています。前者は各企業に投資の動向を金額ベースで伺うもので、後者はイノベーション、デジタライゼーション、カーボンニュートラルといったその年話題になっている企業行動に関する意識調査です。「企業行動に関する意識調査」は行内では特別アンケートと呼んでいるもので、ここ20年ほどで始まった比較的新しい調査です。
対象企業は資本金10億円以上の大企業、資本金1~10億円の中堅企業を併せて9,000社ほどです。2024年度の実績では概ね6割弱の企業様から回答をいただいています。
2024年度の調査結果を一部抜粋してご紹介します。デジタル化の取り組みについて伺ったうち、大企業900社からの回答をまとめました。
左側はAI、IoTの活用状況に関する調査です。2008年の調査開始以降、今回初めてAI、IoTの「活用している」という回答が30%にのぼり、「活用予定がなく関心も低い」という回答を上回る結果となりました。いよいよAIが企業に普及してきたことを感じています。
右側はデジタル化の取り組み内容に関する調査です。「既存システムの更新」から「ビジネスモデルの変革・再構築(DX)」という8つの選択肢を設けており、右側の選択肢ほど取り組みが進んでいる設問設計となっています。こちらは毎回前年度との回答の差が小さく、取り組みが進化していない状況を反映しています。日本企業の多くがデジタル化初期の取り組みに注力しているのが実情のようです。
回答率向上と業務改善を同時に目指す
冨長:長年調査を続けてきた中で見えてきた課題は何だったのでしょうか?
張:まず、回答率の低下が挙げられます。かつてはほぼ100%の企業様から回答いただいていたのですが、近年は低下してきております。統計としての信頼性を担保するためにも回答率を維持していかなければなりません。
また、長年蓄積された独自の管理システムや、属人的で複雑なルールが存在しているため、業務フローが硬直的だと感じておりました。
小泉:ご相談をいただいた当初はシンプルな業務を想像していたのですが、お話を伺ってみると一筋縄ではいかないと感じました。9,500社ほどの回答企業、公表する先として官公庁、社長以下役員、行内の各業務部と多岐にわたるステークホルダーがいること、さらにプロセスも設問設計からアンケート実施、分析、分析結果を利用したDBJ様と回答企業のトップ層同士の対談と、複雑かつ長期にわたることがその理由です。
冨長:より回答しやすいかたちにして企業からの回答率を上げる、業務の柔軟性を向上するという課題があったのですね。計画時点で、デジタル化した先の発展として期待されていたことはありますか?
張:まずは業務が可視化されることを期待しました。これまでは紙の回答が多かったうえ、長年携わっている担当者が独自のノウハウを持っており、問合せが何件あったのか、回答企業が回答にどれだけの時間をかけているか、離脱率はどのくらいか、具体的にどの点がボトルネックになっているのかといった定量的な情報が不足していました。そのためデジタル化を通じて業務改善の根拠となるデータを揃えたいと考えていました。
また、Webアンケートが実現すれば、弊行とお客様が直接新しいプラットフォームでつながれるのではないかという期待もありました。現在はアンケートを通じて企業様から一方的に情報を提供していただく想定ですが、将来的には双方向の接点が持てるプラットフォームを構築できればと考えておりました。
導き出された示唆に価値をおきシステム開発
冨長:プロジェクトはどのようなアプローチから進めていったのでしょうか。
小泉:段階的に施策を実行していく、一般的な業務改革のアプローチを採用しています。長期的なゴールを設定しつつ、中短期的に実施する施策のロードマップを作成し、一つ一つ実行しました。
まずは業務におけるコアや基本方針、KPIをどう設定するのかを双方納得のうえで決めることが重要です。例えば「設備投資計画調査業務の価値は何か?」というお題に対して、集めた経年のデータそのものに価値があるという考え方と、データを分析して導き出される示唆に価値があるという考え方、どちらもありうると思います。これらは循環の関係にあるため、一方に全振りするということではなく、どちらに軸足を置くかという話です。
前者の考えを採用する場合、アンケートで収集するデータの質と量、つまりアウトプットを意識した設問の質と回答率を最大限向上させる施策に優先順位がおかれます。後者の場合、どれだけ多角的で新規性のある示唆が出せるか、分析をどれだけ高度化できるか、もしくはそれを支えるシステムを導入するかという施策の優先順位が高くなります。
本プロジェクトにおいては「分析にこそ価値がある」と判断し、その価値を回答してくださった企業様に最優先で還元するという基本方針を決めました。そこから約1年間をかけ、デジタライゼーションを進めてまいりました。
具体的には、紙アンケートのWeb化、回収状況を準リアルタイムに可視化する管理システムの構築、それら業務システム変更に伴う業務フローの見直し、集めたデータを活用した回答企業へのFBレポートの作成・配布、多角的なデータ分析のPoC等です。多岐にわたる施策を実施してきましたが、難しかったと感じた点はありましたか?
張:お話を聞きながら当時の苦労を思い出しました。「分析が価値」という結論にたどり着くまでに1カ月くらいかかったことを記憶しております。ただ、議論をしている時間は有意義だと感じていて、目標が定まったことで施策が自然と出てきたのではないでしょうか。
大変だったのは施策実行の段階です。例えば管理システムの構築は想定以上に難易度が高かったです。
JDSCさんとの毎週の打ち合わせで要件定義をしたのですが、それが最終的な意思決定となるのか、もしくは後でやり直しがきくものなのか、十分に把握できていなかったことがプレッシャーでした。深く考えずに設定したことが、後でポイントオブノーリターンだったという事態も生じましたので、今後システムの修正が必要だと感じています。
冨長:我々も柔軟に対応したいという想いがある一方で、どうしてもノーリターンのポイントがあり、難しいところでした。今後はどのように対応していく予定でしょうか。
小泉:まずは、張様をはじめ、DBJの皆さまに負担を強いてしまったことや、至らなかった点があったことに関しては反省点として受け止めたいと思います。そのうえで、アプローチを変更することは考えておりません。
というのも、昨年の時点では御行にとっても弊社にとっても初めての試みばかりでしたが、今は一年間の経験とノウハウがあるからです。今後検討するテーマが変わったとしても、アプローチは踏襲できるものなので、昨年ほどの負荷をかけることはないと思っております。ポジティブに捉えれば、反省があるということは改善点が明確だということですし、すでに改善に向けた計画を立てているところです。
業界内での自社の立ち位置が一目でわかるフィードバック資料
冨長:回答企業へのフィードバック資料はどのようなものですか?
小泉:基本的なつくりとしては、あるグループの集計値に対して、全体で比較した時の自社の立ち位置をグラフィカルに示したうえで、簡単にテーマの傾向を文章でまとめたものになっています。それを複数のテーマで実施し、10テーマほどを回答くださった企業にフィードバック資料として配布しております。
今回は全企業にほぼ一律のレポートを配布したのですが、大企業と中堅企業で受け止められ方が異なりました。
中堅企業においては、回答いただく方がお一人であり、かつ経営層に近いケースが多いと思われます。そのため、自社の状況判断をするうえでレポートは有用であるとコメントいただけました。
一方で、大企業では設問ごとに回答者が違うケースや、回答者と経営層との距離が遠く、自社が回答していることを知らないというケースがあります。また、自身の回答が会社を代表した回答であると思われることに抵抗を感じる回答者も一定数いらっしゃるようです。
この点も企業からコメントをもらうことで明らかになったことなので、改善に向けた検討を続けたいと考えています。
張:このフィードバック資料の作成は革新的でした。「回答してもらった企業に結果を返せば会話の糸口になるのでは」というアイデアは行内でもあったものの、御社がいらっしゃらなければこのようにまとめられなかったと思います。デザイナーの方にも参加いただいて、大変見やすくきれいに作っていただきました。
また紙ベースのアンケートでは5,000社とのやりとりは不可能ですが、Web化が実現したことで双方向のやりとりが可能になりました。
情報鮮度を保ちつつ、新たな観点での分析を実現
冨長:「設備投資計画調査」は、デジタル化する前はどんな分析をされていたのでしょうか。
張:銀行の調査部門という利点を生かし、業界ごとの担当者を定め、数字の動きに独自の解釈を加えて発表してきました。一件ずつの投資案件を積み上げて全体像をつかむ、いわゆるミクロアプローチで投資動向を分析してきたといえます。
また、全国の支店では地域ごとの特徴を分析しています。任意調査という制約があり毎年回答企業が変わるという特性上、総額での比較ではなく対前年比での変化を重視しています。
ただ、情報鮮度が高いうちに公表することを目標としているため、短期間で分析しなければならず、新しい切り口での分析に踏み切れないことが課題でした。
小泉:分析期間が2週間も確保できないこともありましたね。
冨長:なるほど。情報鮮度を保ちつつ新しい観点の分析を試すために、分析に特化して業務を遂行できるJDSCとの取り組みを活用いただいたのですね。それではどのように分析を進めてきたか、対象としたデータの特徴とともに教えていただけますか?
山西:まずデータの特徴としては、先ほどお話のあったように2週間という短期間で前年比の数値をメインでレポーティングするために最適化されたデータでした。設問ごとの管理になっており、今年度の結果の隣に前年度の結果が紐づけられた仕様となっておりました。他の設問と組み合わせたり、複数年分の時系列分析をしたりする場合にはデータの整形が必要でした。
分析は、まず過去20年分のデータを調べる作業から始めました。「設備投資計画調査」については設問ごとの実施年、回答件数、連続回答社の件数、毎年設問が変わる「特別アンケート」については過去の設問も整理しました。
これらのアセスメント作業と並行して、どのようなテーマで分析をしてみたいかというアイデアを双方からの持ち寄りで20近く出しました。これまで取り組めていない複数設問の組み合わせや経時的な分析などの新規性を意識しつつ、データ件数などに照らして実現性が高そうなテーマから優先順位をつけました。優先度の高いテーマから、分析期間や分析対象を変動させた場合の件数、どういった軸での分析が可能そうか、どういった数値感になりそうかといった基礎集計を行いました。
この過程は本当に試行錯誤の連続だったと思いますが、張様から見ていかがでしたでしょうか?
張:これまでは自分の好きな形でデータを取り出して分析し、想定した結果を出せていたのですが、今回のプロジェクトにおいては一週間前の自分の思考を再度見せられることになったため、なぜこの軸にしようと思ったんだっけ?と最初は苦戦しました。ただ、議論のスピードが速くなるといろいろなアイデアが出てきて、これまでとまったく違う切り口もいいなと思うようになりました。
途中でExcelのBIを導入していただいてビジュアライズされ、ボタン一つで軸の切り替えができるなど、理解が深まるとともに時間の節約にもなりました。また、グラフ化したことでアウトプットイメージができ、回答企業へフィードバックに活用できそう、対談用に使えそうといったユースケースへの結びつきもしやすくなりました。
1週間ごとに分析案をいただき、その結果を見ながら修正案や別の分析のヒントにし、また作成するというサイクルを回すなかで、最終的には利益の高い企業の行動分析にたどり着きました。こちらが利益率TOP10%企業分析の例です。設問に対する回答を業種別に分析しました。データマートを作成し、集計結果を出力した後はExcelのスライサー機能で結果を見比べられるようにして、示唆出しや意見出しをしていきました。
冨長:プロジェクトを振り返って、成功要因はどこだったと思いますか?
山西:ソフト面では、企画者と分析者で能動的な意見交換ができ、かつ柔軟な方向転換を行えたことがポイントだったと思います。DBJの皆さまにもアイデアを沢山いただき、データからわかることをボトムアップで提案することと、データから取り出したい示唆をトップダウンで考えること、これらを両輪でできたことで、分析プロセスに落とし込むサイクルがうまく回せました。
ハード面については、Pythonを利用した前処理やマート処理の効率化、BI機能を活用した分析結果の可視化など、技術を活用して分析プロセスを短縮できたことがポイントでした。同じ設問でも使用するデータ断面を変えたり、複数の設問や属性情報を紐づけたりと、類似した前処理を繰り返し行う部分についてはJDSC側で高度化した部分です。BIを活用したアウトプットイメージのすりあわせも、示唆出しのサイクルを細かく回せた一因だと思います。
Web化から分析、示唆出しで調査に新たな価値を付加
冨長:今回の取り組みで得られた新しい切り口の分析の評判はいかがですか?
張:行内からは非常に新鮮で汎用的な切り口だという前向きな声が寄せられています。面白い結果が出ればぜひシェアして欲しいという期待もいただいています。設備投資の計画と実績の差の関係など、分析の発展性も見えてきたところです。
冨長:ありがとうございます。宮川部長は今年の6月から現職とのことですが、外から見ていたときの本業務と、中に入って監督してみて感じることの違いがあれば伺えますでしょうか。
宮川:「設備投資調査」がDBJのレピテーションを維持するために重要なプロダクトだということは以前から認識していました。一方で重厚長大なレガシー業務ですので、1年でWeb化を目指しているらしいと聞き、難しそうだと思っていました。
着任後、Web化だけでなく分析やフィードバックまで1年で実施するのを目の当たりにして驚きました。従来は一方的にデータを回収して分析して終わりだったところが、分析してお客様にフィードバックすることでエンゲージメントツールになることがわかりました。半世紀以上積み上げてきたレガシーを利用し、進化できたことはありがたい限りです。
冨長:ポジティブな驚きの声は弊社としても嬉しい評価です。JDSCを変革のパートナーとして選んでくださったのはどういう期待や背景があってのことだったでしょうか。弊社の評価について、率直にお聞かせください。
張:まず、提案が非常に迅速でした。外部コンサルを起用することについて社内の合意が得られたのが23年5月下旬であり、その年の調査が開始されるまで1カ月を切っていたので、スピーディな対応は非常にありがたかったです。その後も対応の早さにはいつも驚かされています。
また、JDSCさんとの議論を通じて、デジタル化の目的がどんどん高次元になっていきました。当初はWebアンケートを実施できれば良いと考えていたのですが、御社はWeb化を通じて業務をどう改善できるか、次の50年に向けてどうすればより良くなるのかと、より高次元の目線で一緒に考えてくれました。
冨長:我々がそのように動けたのもDBJ様あってのことでした。小泉さん、プロジェクトメンバーとしていかがでしたか?
小泉:DBJ様とのプロジェクトは大変進めやすかったです。一番の要因は、プロジェクトを試行錯誤の場として使うことに理解をいただけていたことです。AIやデータを扱うプロジェクトはどこか実験的にならざるを得ない性質があります。その点を理解いただけたのは大変大きかったですね。
望んでいた示唆が出ないときでも、どうしてそうなったのか、どんなデータを使えれば、もしくはどんな手法や切り口にすれば良くなるのか、常に前のめりの姿勢で検討に参加いただけたことは大変ありがたく思っておりました。
DBJ様のDNAには「長期性」「中立性」「パブリックマインド」といったものが並んでいて、行員の皆さまも意識されていると感じています。JDSCも「UPGRADE JAPAN」「社会性と経済性を両立させる」といったことを標榜しており、どこかで似通っている部分があるからやりやすいのかもしれませんね。
すべてのステークホルダーに有意義なツールとなることを期待
冨長:今回の取り組みでは新しい切り口でデータの価値を増すことに成功しました。今後はどのように発展させたいとお考えでしょうか。
張:JDSCさんに入っていただいたことでリソースが広がり、分析に集中できる環境が整いました。おかげで表面的な定量評価が難しい人的投資の効果や、設備投資の計画のより良い立て方など、さまざまな分析アイデアが生まれています。そうしたアイデアを試しながら、分析をより高次元なレベルにもっていきたいです。
また、データを整理していただいたことで、BIツールとして可視化、展開できる可能性も見えてきています。まずは行内から、将来的には回答企業やデータを見たい官公庁、アナリストの方々にも、より有意義な形でデータを還元できる仕組みを作りたいです。回答企業、DBJ、データ利用者、三者が利益を受けられる好循環を生み出し、自然と持続的な調査になっていくものと期待しています。
冨長:業務の改善を目指してのデジタル化でしたが、新たな分析の切り口を加える効果も得られ、データの価値を高めることに成功したプロジェクトでした。DBJ様と密なコミュニケーションをさせていただいたこともあり、JDSCの利点を活かしていただいたと感じております。
今後も知恵を絞りますので、引き続き貢献させていただけたらと存じます。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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■株式会社日本政策投資銀行 産業調査部長兼地域調査部担当部長
宮川 暁世 氏
日本開発銀行(現(株)日本政策投資銀行)入行後、ロンドン拠点での対日投資促進業務、銀行全体のIT戦略の立案、資本市場における投資家対応、女性起業家支援等幅広い業務を経験。現職は産業調査部部長兼地域調査部担当部長。
■日本政策投資銀行 産業調査部 課長
張 南煕 氏
2008年に日本政策投資銀行入行。自動車、造船、海洋開発分野等の投融資・調査業務を担当後、技術の社会実装支援に従事。現在は68年続く「設備投資計画調査」のデジタル化を基軸に、業務改革・高付加価値化プロジェクトを推進中。
■株式会社JDSC
小泉 岳
■株式会社JDSC
山西 歩純
■ファシリテーター
株式会社JDSC 執行役員
冨長裕久
文/大貫翔子
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