ダイキン工業様と不具合監視・運転異常予兆検出AIを共同開発
JDSCでは、2020年10月の資本提携以降、ダイキン工業様とIoTデータとAIを用いた空調事業のアップグレードと顧客体験の向上に共同で取り組んできました。
今回はダイキン工業様と共同開発した、空調機の不具合監視・運転異常予兆検出を可能にするAIについてご紹介します。
本AIでは、発生した事象やお客様の声を製品対応・改善に活かす一連のPDCAサイクルを従来比で1年以上短縮、また、従来検出できなかった故障要因や予兆の検出に成功するなど高い効果を創出しています。
【背景】ダイキン工業様の「変革を支えるデジタル化の推進」
ダイキン工業様は2021年6月に戦略経営計画「FUSION25」を策定し、経営基盤強化5テーマ の一つに「変革を支えるデジタル化の推進」を掲げ、多様化する顧客のニーズに適した価値提供を行うとともに、デジタル技術開発のスピードアップ、データプラットフォームの構築、機器のコネクテッド化、ものづくり・SCM改革を推進されています。
【取り組み#1】市場投入製品の不具合監視AI
ダイキン工業様では、市場投入製品に対するお客様の声や発生不具合を振り返り、新たな製品開発に反映し、より良い顧客体験へつなげていく取り組みを行っていらっしゃいました。
大量の投入製品に対する様々な発生事象やお客様の声の分析は、これまで人の手によって行われており、ビッグデータの統計解析や学習には基づいていなかったため、的確な判断に莫大な時間を要していました。
今回の協業で、過去の不具合とそれに伴う製品対応のデータを学習したAIを開発し、このAIが市場対応情報(入電情報や発生不具合など)から、製品対応や設計上考慮するべき可能性のある事象をアラート(警告)し、人の判断をアシストするシステムを、2021年夏から業務に適用しました。
その結果、従来の製品対応・改善のPDCAサイクルに比べて1年以上早く、対応を要する不具合のフィードバックを行えることが確認できました。本システムは家庭用のみでなく業務用空調機にも適用を開始しており、ダイキン工業様としてより良い製品の提供を行っていくことに活かされています。
【取り組み#2】運転異常の予兆検出AIについて
これまで、空調機の不具合発生時は機器の設置現場での確認が必須である上、現地確認でも分からない異常もあり、お客様のご不便につながっていました。
今回の取り組みでは、遠隔で取得・解析可能となった運転データを活用するため、これまで人の手では膨大な運転データの解析に時間を要したものを、大規模・高速に解析が可能な解析基盤を構築しました。
また、従来ではわからなかった一部異常の発生予兆の検出や、異常箇所の特定を可能とするAIを構築しました。
これにより、お客様への対応をより効果的に行える他、業務効率の改善も期待することができます。今後も機能を拡張させていくのに加え、2022年春より、現場での検証も行っていく予定です。
【成果】空調機器の製品PDCAを1年以上早期化、新たな異常予兆検出を達成
今回共同開発した市場投入製品の不具合を監視するAI、ならびに運転異常予兆を検出するAIは、2021年夏より実際の業務にて試験運用を開始しました。
検証の結果、不具合監視AIは発生した事象やお客様の声を製品対応・改善に活かす一連のPDCAサイクルを、従来比で1年以上短縮することに成功しました。また、運転異常予兆検出AIは、従来検出できなかった故障要因や予兆の検出に成功し、その有効性と効果を確認できました。
【今後について】空調バリューチェーン全体のDXを進める
本取り組みは、ダイキン工業様のテクノロジー・イノベーションセンター、空調生産本部、サービス本部に、スタートアップ企業であるJDSCが加わり、生産・製造・顧客体験にわたる複数組織の協業とデジタルの力を合わせることで、新たな価値の創出に成功した事例です。
この共同成果を踏まえ、今後、空調バリューチェーン全体のDXによるアップグレードを一層加速化すべく、さらなるDX活動の強化、展開に取り組んでいきます。
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